給湯器のリモコンに、見慣れない数字が点滅している。「111」「632」「888」——お湯は出ないし、何が起きたのかもわからない。
でも、その数字は故障を知らせているとは限りません。
修理の担当者が呼ばれて行って「これ、故障じゃないですよ」とお伝えして終わる現場は、それなりに多いそうです。浴槽の栓が閉まっていなかった、点検の時期を知らせていただけ——そんな内容です。
一方で、すぐに修理の依頼をした方がいい数字もあります。
この記事では、まず「故障ではない数字」を外して、次に「自分で確認できる数字」、最後に「修理を依頼するべき数字」の順で整理します。自分の番号がどこに入るかがわかれば、次にやることは決まります。
最後に、番号そのものの読み方も載せました。これを知っておくと、ここに出てこない番号が表示されても、だいたいの見当がつくようになります。
その数字、故障とは限らない
エラーコードと聞くと全部が故障に思えますが、実際には「お知らせ」や「使い方の問題」を伝えているだけの番号があります。まずはここから外していきましょう。
032 / 03|浴槽の栓が閉まっていない
自動でお湯はりをしたのに、いつまでも溜まらない。給湯器はお湯を出しているのに水位が上がってこない——これを検知すると、リンナイは03、ノーリツ・パロマは032を表示して止まります。
原因はほとんどが、排水栓の閉め忘れです。「ちゃんと閉めた」という場合も、ゴム栓が劣化して少しずつ漏れていたり、うまくはまっておらず、隙間ができていたりします。
栓を閉め直して、運転スイッチを入れ直せば元に戻ります。故障ではありません。
011 / 01 / 02|お湯を出しっぱなしにした
給湯が長時間続くと、安全のためにいったん止まります。大掃除で蛇口を開けっぱなしにしていた、シャワーを止め忘れた——心当たりがあれば、これです。
給湯栓を閉めて、運転スイッチを切って入れ直せば戻ります。パーパスの機種では、蛇口の閉め忘れをCLという表示で知らせるものもあります。
88 / 888|点検時期のお知らせ
これも故障ではありません。
給湯器には「設計上の標準使用期間」が定められていて、家庭用は製造から10年。ここに達すると、主要メーカーそろって88(給湯専用)または888(ふろ給湯器)を表示します。
お湯は今までどおり使えます。ここまではご存じの方も多いと思います。
問題は、その後です。
「故障じゃないなら」
「メーカーが交換を勧めるためのエラーでしょ」
と、そのまま何年も使い続ける方がとても多い。でも、ここで知っておいてほしいことがあります。
888が表示されたタイミングは、部品の交換をするのであればラストチャンスとなるかもしれません。
メーカーは修理用の部品を一定期間保有していますが、その期間は「あなたが設置してから」ではなく 「その機種の製造が終わってから」 数えます。給湯器は新しい機種が次々に出るので、発売から数年で製造が終わることも珍しくありません。
型落ちの給湯器を取り付けたのであれば、設置した段階で製造が終了しているなんてこともあるかもしれません。
つまり、設置から10年経って888が出た頃には、その機種の部品はもう残りわずか、ということが起こります。
さらに、リンナイは公式にこう案内しています。長く使われた製品は、経年劣化による事故を防ぐため、修理用の部品を使った修理をお断りする場合がある、と。部品があっても直してもらえないことがある、ということです。
劣化した部品がどれかわかっていても、その部品を交換するために分解すると、触ったほかの部品も壊してしまう恐れがあるということです。
そして、いちばん見落とされやすいのがここ。点検のときに使う部品にも、保有期間があります。点検の時期を過ぎると、その部品も残っていない場合がある。
先延ばしにするほど、「点検して長く使い続ける」という選択肢そのものが消えていきます。
888が出たら、下記のどちらかは検討しておくべきです。
- 点検を受けて、必要な部品を交換しておく:今の機械を出来るだけ長く使いたいなら、これしかありません。メーカーの有償点検を受けると、表示も消えます
- 交換の計画を立て始める:10年使ったなら、買い替えを検討していい時期です
放っておいたからといって、すぐに使えなくなるわけではありません。888が出てからも、何年も普通に動き続ける機械はあります。
ただ、888が出ているということは、今の機械が壊れた時に「直して使い続ける」選択肢をとれるのは、そろそろ終わりに近づいているということです。
自分で確認できるエラー
ここからは、業者を呼ぶ前に自分で確認できる番号です。確認して直らなければ点検を依頼する、という前提で読んでください。
111 / 11|お湯が出ない(点火しない)
いちばん多く検索されている番号です。ガスに火をつけられなかった、という意味で、給湯専用機は11、ふろ給湯器は111と表示されます。
原因は大きく2つに分かれます。ガスが来ていないか、火をつける部品が働いていないか。前者なら自分で解決できる可能性があります。
確認は、この順番が早いです。
- ほかのガス機器が使えるか:ガスコンロやファンヒーターに火がつくか試してください。つかないなら、ガスの供給側の問題です。給湯器は壊れていません
- ガスメーターの安全装置:地震や長時間の使用でガスが自動遮断されていることがあります。メーターのランプが点滅していたら、復帰操作をしてください。操作方法はメーターに貼られています
- ガス栓が開いているか:開け忘れ、掃除のときに閉めた、といったこともあります
- プロパンならガス切れ:残量を確認してください
ここまで確認しても直らない場合は、給湯器の内部です。火花を飛ばす部品や、炎を検知する部品、ガスを送る弁——このあたりが原因になるので、修理を依頼してください。
なお、ノーリツの石油給湯器でも111が表示されますが、こちらは灯油切れの可能性があります。ガスと石油で意味が違うので、燃料を確認してください。
632|追いだきができない
浴槽のお湯を吸い込んで温め直す「循環」ができていない、という表示です。この番号は主要メーカーで共通して使われています。
追いだきは、浴槽の側面についている丸い金具(循環アダプター)からお湯を吸い込み、給湯器で温めて、また戻す仕組みです。ここでお湯を吸えないと632が出ます。
「632=ポンプの故障」と思われがちですが、実際に多いのは次の2つです。
- お湯の量が足りない:循環アダプターが完全に隠れる高さまでお湯がないと吸い込めません。目安は、循環口より5cmほど上まで。足してから追いだきし直してください
- 循環アダプターのフィルターが詰まっている:カバーを回して外すと、内側にフィルターがあります。髪の毛や皮脂汚れが溜まっていたら、水洗いしてください
洗ったあとは、元どおりしっかり取り付けてください。緩いままだとまた同じエラーが出ることがあります。
寒冷地の冬場でこの番号が出るなら、追いだき配管の凍結も考えられます。この場合は自然に溶けるのを待ってください。
ここまでやっても出るなら、循環ポンプや水流を検知する部品の側です。点検を依頼してください。
121 / 12|使っている途中で止まる
いったん火がついたのに、途中で消えた、という表示です。111と原因が重なる部分もありますが、読者の体感は違います。「そもそもつかない」のが111、「ついたのに消えた」のが121です。
確認は111と同じくガスまわりからですが、この番号には季節の要因があります。
台風や強風の直後なら、風で火が消された可能性があります。 給湯器は屋外にあるので、条件が重なると起こります。天候が落ち着いてから運転スイッチを入れ直すと、そのまま元に戻ることがあります。
繰り返し出る場合は、ガス圧の問題や、炎を検知する部品の汚れ・劣化が考えられます。何度も再操作を繰り返さず、点検を依頼してください。
101 / 10|お湯は出るけど弱い・ぬるい
給排気が十分にできていないと判断して、能力を落として運転している状態です。お湯は出るので気づきにくいのですが、「最近シャワーの勢いが物足りない」「設定温度まで上がらない」といった形で現れます。
確認するのは給湯器の周りです。
- 給排気口の前に物を置いていないか(自転車、植木鉢、雪など)
- 排気口まわりにホコリや汚れが溜まっていないか
- 給気フィルターがある機種なら、詰まっていないか
障害物をどけて改善すればそれで解決です。改善しない場合は、内部の熱交換器の詰まりなども考えられるので点検を依頼してください。
お湯自体は出るので後回しにされがちですが、給排気に関わる部分です。掃除しても改善しないようなら、早めに見てもらったほうが安心です。
これが出たら、すぐに修理か点検を依頼する
ここからは、自分で対処できない番号です。使用をやめてすぐに修理か点検を依頼してください。
- 13 / 130 / 38 / 380 など:不完全燃焼を防ぐ装置が働いた、またはそのセンサーの異常。
- 14 / 140 / 141 / 142 など:過熱を防ぐ装置が働いた状態。一度作動すると部品交換が必要になることがあります
- 18 / 19 / 190 / 193 など:漏電や、電気が本来流れない場所に漏れていることを検知した状態
- 本体から水が漏れている場合:すぐに給湯器の止水栓を閉めて業者に連絡してください。
水が漏れているときは、止水栓を閉める
給湯器から水が漏れている場合、運転を止めるだけでは水は止まりません。給湯器につながっている止水栓を閉めてください。
給湯器の本体の下を見ると、配管が何本か出ています。そのうち水側の配管についているのが給水の止水栓です。ハンドル式かマイナス溝式になっていて、時計回り(右回り)に回すと閉まります。
ここを閉めると、給湯器への水の供給が止まります。その間お湯は使えなくなりますが、水道の水はそのまま使えます。漏れを放っておくと、水道代がかさむだけでなく、床や壁が傷んだり、階下に漏れたりすることもあるので、まずは止めてしまうのが安全です。
固くて回らないときは、無理に力をかけないでください。古い止水栓は無理に回すとそこから漏れ出すことがあります。回らなければ、水道の元栓を閉めるという手もあります。
ガス臭いときは、何も触らない
ここだけは例外です。
ガス臭い、焦げたにおいがする——このときは、リセット操作をしないでください。電気のスイッチやコンセントにも触らないでください。
電気のスイッチやコンセントは、入れるときも抜くときも小さな火花が出ます。ガスが漏れている場所でそれをやると、引火する可能性があります。ガス会社各社が「スイッチやコンセントには絶対に触れないでください」と案内しているのは、このためです。
このときにやることは3つだけです。
- 火を使わない
- 窓や戸を開けて換気する。このとき換気扇のスイッチも入れないでください
- その場を離れて、ガス会社に連絡する
ガス栓や元栓が無理なく閉められるなら閉めてください。固くて回らないときは、無理をせずそのままで大丈夫です。
エコジョーズにだけ出るエラー|中和器の寿命
エコジョーズをお使いの方は、920や930という番号が出ることがあります。これは従来型の給湯器では出ません。
エコジョーズは、これまで捨てていた排気の熱を再利用してお湯を作ります。その過程で酸性の水(ドレン水)が出るため、それを中和してから排水する「中和器」という部品が入っています。この中和器は使っていると消耗するので、寿命があります。
表示は二段構えです。
- 920番台:中和器の寿命が近い、という予告。しばらくは使えますが、部品交換の手配が必要です
- 930番台:寿命に達して、機器が止まります
故障ではなく、消耗品の交換時期のお知らせだと考えてください。ただし部品交換の費用はかかります。
エコジョーズは「ガス代が安くなる」という点で選ばれることが多いのですが、こういった消耗部品があることはあまり語られません。導入を検討している方は、あわせて知っておいたほうがいい部分です。
なお、290や29という番号は同じ中和器まわりでも「詰まり」を指すもので、寿命とは別です。冬場はドレン配管の凍結が原因のこともあります。
知らない番号でも見当がつく|数字の読み方
ここまで代表的な番号を見てきましたが、給湯器のエラーコードは全部で100種類以上あります。全部を覚えるのは無理ですし、その必要もありません。
実は、番号の並び方には規則性があります。ここを知っておくと、この記事に出てこない番号が表示されても、だいたいどのあたりの話かが読めるようになります。
桁数でわかること
- 2桁:給湯専用の機種
- 3桁:追いだき機能つきの機種
同じ内容でも、機種によって桁数が変わります。「11」と「111」、「14」と「140」のように、基本的には対応しています。
百の位でわかること
主要4メーカーのコード表を並べてみると、百の位ごとに担当している系統がだいたい決まっています。
| 番台 | だいたいこのあたりの話 |
|---|---|
| 000番台 | 使い方・運転の状態(出しっぱなし、栓の閉め忘れなど) |
| 100番台 | 燃焼まわり(火がつかない、消えた、熱くなりすぎた) |
| 200番台 | 水位、中和器・排水まわり |
| 300番台 | 温度を測るセンサー |
| 400番台 | 水の量・水位を測るセンサー |
| 500番台 | ガスや水を通す弁 |
| 600番台 | 動くもの(ファン、ポンプ) |
| 700番台 | 制御の基板、リモコンとの通信 |
| 800番台 | 点検時期のお知らせなど |
| 900番台 | 給排気の詰まり、燃焼異常、中和器の寿命 |
たとえば「331」という番号を見たら、300番台なので温度センサーの話だな、とわかります。「560」なら弁が動いていないんだな、と見当がつく。
そして300番台以降は、ほとんどが機器の内部部品です。つまり、番号が大きいほど自分ではどうにもならない可能性が高いという、ざっくりした目安にもなります。
下1桁でわかること
3桁の番号は、下1桁で系統が分かれます。
- 1で終わる:給湯
- 2で終わる:おふろ
- 3で終わる:暖房
111(給湯の点火不良)に対して、112はおふろの点火不良。611が給湯のファン、612がふろのファン。この対応は広い範囲で成り立っています。
「お湯は出るのに追いだきだけできない」というときに112や612が出ていたら、なるほどおふろ側か、と読めるわけです。
なお、これらはあくまで傾向です。メーカーや機種によって例外もあるので、実際の対処は取扱説明書とメーカーの案内で確認してください。
リセットのやり方と、やってはいけないとき
エラーが出たときの「リセット」には、2種類あります。
リモコンの運転スイッチを切って入れ直す
いちばん軽い方法です。制御を一度止めて、エラーの状態を解除します。
本体の電源プラグを抜き差しする
制御の基板ごと再起動する方法です。抜いてから10秒ほど待って、差し直します。
ただし、こちらには副作用があります。お湯の設定温度、湯はりの量、時計などの設定が初期化されることがあります。 「エラーは消えたけど設定が全部戻っていた」ということが起こるので、知っておいてください。
やってはいけないとき
- ガス臭い、焦げたにおいがする:プラグの抜き差しを含め、電気の操作そのものが危険です
- 本体から水が漏れている
- 前の章で挙げた「自分では対処できない」番号が出ている
消えても、直ったとは限らない
ここが大事なところです。エラー表示が消えることと、原因が解消することは別です。
同じ番号が何度も出るなら、それは機器が同じ異常を検知し続けているということ。リセットで消して使い続けると、ある日突然動かなくなります。
抜き差しを何度も繰り返すのも避けてください。1〜2回試して直らなければ、そこで手を止めるのが現実的な線です。
繰り返すなら、直すより替えどき
エラーが出る頻度が上がってきた、というのは、それ自体がサインです。
給湯器は前触れなく壊れることがある、おうちの中でも重要度の高い設備です。そしてお湯が出なくなると、お風呂にも入れない、洗い物もできない——家の中でも生活への影響が大きい部類に入ります。
修理か交換かの判断は、だいたいこのあたりが目安になります。
- 設置から10年前後:888が出ているなら、点検か交換かを決める時期
- 修理費が高額になる:部品によっては、修理を重ねるより交換のほうが結果的に安くつきます
- 同じエラーを繰り返す:一箇所を直しても、ほかの部品も同じだけ年数が経っています
そして、壊れてから慌てて探すと、選択肢が狭くなります。何社も見積もりを取って金額を比べる余裕がなくなるからです。
まだ正常に動いているうちに一度見積もりを取っておき、自宅に付けられる機種を把握しておけば、いざというときにその機種の在庫を持っている業者に総当たりすることもできます。
- 最短即日対応
- 出張費0円
- 10年保証
よくある質問
Q1. エラーコードはメーカーが違っても同じ意味ですか?
主要な番号は、各社でおおむね共通しています。111(点火不良)、632(追いだきの循環不良)、888(点検時期)などは、実際に各社のコード表を突き合わせても同じ内容でした。ただし全部が一致するわけではなく、メーカー独自の番号もあります。お使いの機種の取扱説明書で確認してください。
Q2. 石油給湯器でも同じ番号ですか?
こちらは共通ではありません。ノーリツの石油給湯器はガスと同じ番号体系ですが、コロナや長府は独自の表示(E1、E2など)を使っていて、同じ表記でも意味がまったく違います。石油給湯器の場合は、必ずメーカーと機種を確認してから調べてください。
Q3. エラーが消えたので、そのまま使っていいですか?
一度きりで、それ以降まったく出ないなら、一時的な誤作動だった可能性があります。ただし同じ番号が繰り返し出る場合は、原因が残っています。点検を依頼してください。
Q4. 賃貸なのですが、自分で業者を呼んでいいですか?
自分では呼ばないほうがいいです。 賃貸の給湯器は基本的に大家さん(貸主)のもので、修理も交換も大家さん側の責任で行われます。まずは管理会社か大家さんに連絡してください。自分で業者を手配してしまうと、費用が自己負担になったり、話がややこしくなったりすることがあります。
Q5. 888を消す方法はありますか?
メーカーの点検を受けると解除されます。リモコンの操作で一時的に消せる機種もありますが、期間が来ればまた表示されます。表示を消すことより、点検を受けるか交換するかを決めることのほうが大事です。
まとめ
- リモコンの数字は、全部が故障ではありません。栓の閉め忘れ(032)、出しっぱなし(011)、点検時期(888)は故障ではない側です
- 888は「無視していい」わけではありません。修理部品には保有期間があり、先延ばしにするほど「修理して使い続ける」選択肢が消えていきます
- 自分で確認できるのは 111・632・121・101 のあたり。111はほかのガス機器が使えるか、632は湯量とフィルター、121は強風のあと、101は給排気まわりを確認
- お風呂だけぬるいなら、原因は蛇口側かもしれません。ほかの蛇口で熱いお湯が出るなら給湯器は正常です
- 不完全燃焼・過熱・漏電の系統は、すぐに修理か点検の依頼をする。水が漏れているときは止水栓を閉めてください。ただしガス臭いときは、スイッチやコンセントにも触らないでください
- 920・930はエコジョーズ特有の中和器の寿命です
- 番号は 桁数・百の位・下1桁 で読める。知らない番号でも見当がつきます
- リセットで消えても、直ったとは限りません。繰り返すなら替えどきです
エラーが出ると身構えてしまいますが、まずは「故障ではない側」から外していけば、落ち着いて次の手が決まります。
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