台風・地震・落雷などで停電が起きたあと、復旧した瞬間に「カチッ」とブレーカーを上げて家電を一気に動かすのは、実はかなり危険です。
住宅設備工 + 第二種電気工事士として現場で見てきた経験から言うと、停電後のトラブルの多くは「いきなり電源復旧」が原因。給湯器の故障、エアコンの基板破損、冷蔵庫の故障など、本来防げた被害が二次的に発生しているケースを何度も見てきました。
この記事では、停電が起きたとき・復旧したときに チェックすべき7項目を、住宅設備の現場目線でまとめました。災害時の備えとして、ぜひ覚えておいてください。
1. 停電直後にやるべきこと
停電が起きた瞬間、まずやるべきは家電の電源を切ること。
即座に切るべき家電
電源を切らずに復旧を待つと、復旧時の突入電流で家電が壊れます。
- エアコン
- 電子レンジ
- 食洗機
- ドライヤー
- パソコン(UPS なしの場合)
- ヘアアイロン
コンセントから抜くべき家電
特に雷が原因の停電の場合、雷サージによる二次被害を防ぐためにコンセントから抜きます。
- パソコン・ルーター
- テレビ
- ゲーム機
- 高価な家電全般
2. ブレーカーの状態を確認する
停電と思っていたら、実は自宅のブレーカーだけが落ちていたというケースも珍しくありません。
ブレーカーの3種類
家庭用の分電盤には3つのブレーカーがあります:
| ブレーカー | 役割 | 落ちる原因 |
|---|---|---|
| アンペアブレーカー | 契約電流を超えた | 一度に多くの家電を使った |
| 漏電ブレーカー | 漏電を検知 | 配線・家電の漏電 |
| 安全ブレーカー(分岐) | 各回路の保護 | 特定の部屋の使い過ぎ |
確認の順序
1. 近所の街灯・他の家を確認 近所も停電なら地域停電。自宅だけならブレーカーの問題。
2. 分電盤を確認
- アンペアブレーカーが OFF → 契約電流オーバー
- 漏電ブレーカーが OFF → 漏電(要点検)
- 安全ブレーカーが OFF → 特定回路の問題
3. 漏電ブレーカーが落ちていた場合 これは特に注意。自分でいきなり上げないで、原因の特定が必要です。
3. 復旧前のチェックリスト(地域停電)
地域停電の復旧前に、以下を確認:
復旧前にやるべき7チェック
✅ 1. すべての家電の電源を切る ブレーカーを上げる前に、家中の家電のスイッチを OFF。
✅ 2. コンセントから差していた家電を確認 水濡れ・破損していないか目視確認。
✅ 3. 冷蔵庫・冷凍庫の中身を確認 長時間停電だと食品が傷んでいる可能性。
✅ 4. 給湯器のリモコンを OFF 復旧時の電源投入で基板が損傷するリスクを軽減。
✅ 5. エアコンのリモコンを OFF 同上。
✅ 6. ガス機器の点検 震災後の停電なら、ガス漏れの可能性も。臭いを確認。
✅ 7. 水道水を 1分流す(念のため) 震災後は配管破損の可能性。最初の水は変色していることがあります。
4. 給湯器の復旧手順
停電後の給湯器復旧は、いきなり使わず手順を踏むのが鉄則です。
給湯器復旧の正しい手順
STEP 1:電源プラグを確認 給湯器本体やリモコンの電源プラグが抜けていないか確認。
STEP 2:ガス栓を開く 震災後の停電で自動的にガスが止まっている場合があります(マイコンメーターによる遮断)。ガス栓を開け、必要ならマイコンメーターの復帰操作を実施。
STEP 3:リモコンの電源を入れる 1〜2分待ってから運転開始。すぐに使うとエラーが出ることがあります。
STEP 4:水を出してチェック お湯が出るまで30秒〜1分かかることがあります。エラーコードが出たら無理に使わず、メーカーに連絡。
よくあるエラーコード
| エラー | 意味 |
|---|---|
| 111 | 着火不良 |
| 290 | 中和器警告 |
| 632 | 強制排気不良 |
| 990 | 機器の点検時期 |
詳しいエラーコード対応は給湯器の取扱説明書を確認してください。
5. エアコンの復旧手順
エアコンも給湯器と同じく、段階的な復旧が大事です。
エアコン復旧の正しい手順
STEP 1:電源プラグの確認 プラグが抜けていないか確認。震災時はずれていることもあります。
STEP 2:室外機のチェック
- 倒れていないか
- 異物が入っていないか
- 配管が外れていないか
STEP 3:本体の電源を入れる リモコンで電源 ON。5分以上 動作させて様子を見る。
STEP 4:冷暖房をテスト 通常モードで運転確認。異音・異臭がないかチェック。
エアコンが動かない場合
復旧後にエアコンが動かない原因として多いのは:
- 室外機の倒壊・配管外れ → 業者修理必須
- 電源基板の破損(雷サージ等) → メーカー修理
- 単純なブレーカー落ち → ブレーカー上げで復旧
6. 冷蔵庫の食品確認
停電が長引いた場合の冷蔵庫の中身チェック:
食品の安全基準
| 停電時間 | 冷蔵室 | 冷凍室(満杯) | 冷凍室(半分以下) |
|---|---|---|---|
| 〜2時間 | 大丈夫 | 大丈夫 | 大丈夫 |
| 2〜4時間 | 注意・要確認 | 大丈夫 | やや注意 |
| 4〜24時間 | 危険・廃棄推奨 | 注意・要確認 | 多くは廃棄 |
| 24時間以上 | 廃棄 | 一部廃棄 | 全廃棄 |
廃棄すべき食品
- 生肉・生魚(2時間以上常温)
- 牛乳・ヨーグルト等乳製品(4時間以上常温)
- 生卵(殻が割れていない場合は様子見)
- 開封済みの調理済み食品
「もったいない」より「食中毒のリスク」を優先すべきです。
7. 業者依頼の判断基準
復旧後にも以下の症状があれば、自分で対応せず業者依頼を:
業者を呼ぶべきサイン
🚨 即座に業者依頼:
- 焦げ臭い・煙が出る
- ブレーカーを上げてもすぐ落ちる
- 給湯器が異常発熱している
- 漏電ブレーカーが何度も落ちる
🟡 数日以内に業者依頼:
- 給湯器のエラーコードが消えない
- エアコンの効きが明らかに悪い
- 電気がチカチカする
- 冷蔵庫の冷えが弱い
災害時の業者依頼の注意
災害後は便乗値上げ・悪徳業者が増える時期です。
⚠️ 注意点:
- 訪問販売の業者は信用しない
- 火災保険を悪用した「無料修理」勧誘に注意
- 公的機関(消防・警察・電力会社)を装う業者に注意
まとめ:停電時の7項目チェック
停電が起きたら、復旧前にこの順番でチェック:
1. 家電の電源・コンセントを切る
2. ブレーカーの状態確認(地域停電 or 自宅のみ?)
3. 復旧前7チェック実施
4. 給湯器の段階的復旧
5. エアコンの段階的復旧
6. 冷蔵庫の食品確認
7. 異常があれば業者依頼
事前に家族で共有しておけば、災害時のパニックを避けられます。
備えあれば憂いなし。今日から「停電時の動き方」を家族と話し合っておきましょう。
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